世の中には格闘技という位置付けではないものの、格闘技に近いスポーツがたくさんあります。
例えばアメフトやラグビーは激しく身体をぶつけ合いますし、アイスホッケーは重装備の状態で『氷上の格闘技』と言われるほど激しい戦いを繰り広げます。
僕はキックボクシングや総合格闘技などを計10年ほどやっていますが、格闘技のように『階級』の垣根が無く自分よりも大柄で屈強な肉体を誇る集団に挑んでいかなければならないスポーツをやるには、格闘技と同等もしくはそれ以上に覚悟が必要だと思っています。
なので、そういったスポーツをしている選手は格闘技にも抵抗がないし、仮に始めたらめちゃくちゃ強いだろうなと思っていたのですが、どうやらそうとも言えないようなのです。
今回は、そんなことを感じたエピソードをお話します。
大学生のラグビー選手達との出会い
もうかなり昔の話になりますが、僕はフィットネスジムでインストラクターの仕事をしていました。
そこにはアルバイトの大学生もいたのですが、当時のチーフがラグビー出身だったためか、採用されるのもラグビーに打ち込んでいる子が多かったのです。
彼等は当然ながら体格が良く、大学生にして身長も体重も僕とは比べ物にならないくらい大きかったです。
※僕の身長と体重は、日本人の平均くらいです。
そんな屈強な彼等ですが礼儀正しくて良い子ばかりだったので、空き時間には談笑をしょっちゅうしていました。
格闘技なんて怖くてできない
そんなある日、僕は何気なく彼等に「みんな毎日ガタイのいい連中とぶつかり合って戦ってるんだよね?もし格闘技やったらすぐ強くなるし、俺なんて簡単に倒せるんだろうなぁ」と呟きました。
お世辞でも謙遜でもなく、彼等を見ていて率直に思ったことをそのまま口に出したわけですが、彼等は一様にこう返してくるのです。
「いやいや、格闘技なんてまともに殴り合う競技怖くてできませんよ!」
…あれ?僕からすれば大勢に四方八方から激しく身体をぶつけられるラグビーの方がよほど怖い競技です。
「格闘技はほぼ同じくらいの体重だし、1対1だからラグビーよりも怖くはないと思うけど??」
「ラグビーなんてまともにぶつかっても勝ち目なくても、足にしがみついて一緒に倒れちゃえば何とかなりますから。格闘技みたく本気で相手を倒さなきゃいけないのは僕達には無理です。だから格闘技バリバリやれてるのってマジでスゴいと思います!」
ラグビーで鍛え上げられた肉体を持つ彼等でも、格闘技は怖いと言うのです。
格闘技はちょっと特殊なスポーツなのかもしれない
この会話をした時、僕は格闘技をやるというのは自分が思っている以上に心理的なハードルが高いんだということを知りました。
『格闘技に近いスポーツ』が格闘技と異なる点は、彼等が言っていたように相手を必ず倒さなければならないわけではないということです。
ラグビーであればボールをより多く相手陣地に押し込めば点数が入り勝利となりますが、格闘技は相手と戦い倒してこそのものです。
格闘技で戦う恐怖と、格闘技に近いスポーツをやる恐怖は全く異なるようですね。
そう考えると、格闘技をやっている人達はそれだけで十分スゴいということです。
なので、格闘技を今やっている人はぜひ自分で自分を褒めてあげてください(笑)
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