格闘技ジムへの入会を勧誘する宣伝文句として、最近よく見かけるのが『護身術に最適!』というものです。
その名の通り相手と戦うから格闘技なわけで、それが自分の身を護る手段になるということはよく分かるわけですが、では実際にどこまで役立つかはいまいち分からないという人は多いのではないでしょうか。
今回は、曲がりなりにも格闘技を10年以上やってきた立場から、格闘技が護身術として有効なのか考察してみました。
そもそも何をもって『護身術』といえるのか
まず皆さんがイメージする護身術とはどんなものでしょうか?
警察ドラマで警察官が襲ってくる犯人を華麗に倒して取り押さえるシーン、海外映画で特殊部隊出身の主人公が敵を倒してヒロインを助けるシーンなど、色々あると思います。
しかし、明確に「これが護身術だ!」と定義をするとなると難しいですよね。
まさにここがポイントで、ひとくちに護身術といってもそれが具体的に何なのかは説明がしにくいのです。
「言葉は分かるけれど、意味を丁寧に紐解いてみると曖昧になる」という感じでしょうか。
相手を倒すことは『護身』ではなく『手段』のひとつ
ここで改めて考えてみてほしいのですが、護身術とは自分の身を護ることであり、ここに必ずしも相手を倒すことは含まれていません。
例えば街で絡まれたとして、自分が謝ることで相手が引き下がれば自分は何もケガをしていないので身を護れたことになりますし、いきなり暴漢が襲ってきても走って逃げ切れれば自分の身を護れています。
つまり、自分に危害を加えてこようとする相手と戦い勝つことは、あくまで護身の『手段』であり、『目的』ではないのです。
これを踏まえると、格闘技は護身術の手段にはなりますが、護身術そのものではないということになります。
護身術とはあくまで「自分の身が護れればOK」なので、戦うかどうかは状況次第ということです。
『護身』の意味を履き違えないようにしよう
上記を総合して考えると、結論としては「格闘技は護身術として有効ではあるが、これが護身の全てではない」というところだと思います。
格闘技は相手を倒す技術を身に付けられますが、これで必ず相手を倒せるわけではありません。
相手の体格や状態、周囲の状況などによっては自分が戦うよりももっと安全で有効な手段を取れることはたくさんあります(警察に通報するなど)。
むしろ格闘技を使うことでかえって危険の度合いが高まる可能性もあるので、あくまで護身術の1つの方法であるということを理解しておくことが大切です。
また、格闘技は繰り返し練習することで自分の身体に染み付かせていくものなので、一朝一夕で習ったものをすぐさま実戦で出せるものではないことも覚えておきましょう。
とはいえ、格闘技で身に付くのはそうした技術だけでなく基礎的な体力や筋力も向上するので、これを活用して自分の身を護れる確率は何もしないよりグッと高くなるのは事実です。
護身のために格闘技を始めるというのは良い選択だと思うので、もし迷っている場合は始めてみてはいかがでしょうか。
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